Gmail
Google社が提供するWeb電子メールサービスの一つで、いわゆるクラウドソリューションの先駆け。
個人用のGmailと法人ユースのGoogle Appsで提供されるGmail for Businessがある。
概要 †
GmailはGoogleのWebメールサービスの名称で、2004年よりリリースされている。
すっかり定着し、開設するにも今更感があるが、今後も重要なものであるため改めて触れることとしたい。
メリット・デメリット †
メリット †
- GB単位の大容量。ビジネスユースなら25GB
無料で利用可能でありながら、当初1GB(確か)から現在は数GBという大容量がウリだったが、現在では個人用でも10GBに及ぶスペースが利用可能で、かなり大きいポイント。
実質無制限のサービスもあるが、基本的には10GBもあれば充分。 - 複数台のPCやスマホなど、端末の数や種類を問わずデバイス非依存で利用可能
クラウドソリューションの面目躍如といったところか。クラウドだけに、キャリアの乗り換え、端末の機種変更等に依存しないこともマル。
携帯を無くしても落としても、代替端末に設定すればすぐに使うことができる。 - Outlook違い、複数のPCで利用する場合にPCごとにライセンスを購入する必要がない
端末ごとにアプリケーションやライセンスを購入する必要がないことは、特に法人ユースのコストに影響を与える。 - 外部のメール(Gmail以外のメール)を、Gmailで受信することができる
Gmailアカウントで受信するメールを追加することができ、あちこちと見なくても良いこともメリットの一つ。 - ネット接続なしのオフラインも利用可能
基本的にはインターネットを使用してIMAP?と呼ばれるサーバアクセス型でサービスに接続するが、オフライン時にはローカルにデータを蓄えオンライン接続した際に反映させるというサービスも提供されている。
正直、トラブルも多くこのあたりの使い勝手はOutlookに大きく劣る印象だが、一応利用は可能。 - Googleカレンダーと連携することで、スケジュール管理が容易に
Outlookなどのメーラーでスケジュール管理をすることと同様だが、社外のユーザやGmailを利用していないユーザにも自身の予定を共有することができる等、使い勝手はかなり良い。 - 検索が速い
さすが検索屋さんといったところで、とにかく早い。
容量が少ないうちはあまり意識しないかと思うが、数GBを超えたあたりから如実に違いが出る。 - 迷惑メール対策、セキュリティ対策済み
強力な迷惑メールのフィルタリングが実装され、また送受信されるメールは標準ですべてウイルスチェックが実施される等、セキュリティにも気を配られている。
もちろんこういった対策には100%なんてないのだが、ベーシックな部分だけでも肩代わりされているというのは有難いことだ。
但し3.3%は誤判定でスパム扱いされているという統計もあるため、たまには迷惑メールフォルダを探してみること。検索窓にin:spam to:me (自分の名前)と入力して検索することで、「誤ってスパム扱いされている、自分あてのメール」を抜き出すことができる。詳細はこちらを参照のこと。 - インスタントメッセージ(チャット)が可能、
いわゆるメッセンジャーとしても機能する。
チャットのようなやり取りをメールですることもあるが、その際に相手もGmailユーザだとチャットができて話が速い。実はかなり有用。 - ブラウザ経由でWebから、メーラーを使用してPOP3/SMTP、IMAPとアクセス経路が多彩
PCの調子が悪くてもスマホから、ブラウザの調子が悪くてもメーラーから等、アクセス手段が複数あるというのはトラブルが発生した際に手詰まりになりにくい。 - Google Labsという拡張機能が利用可能
元々はGoogle社員の自由研究的な位置づけだったらしいが、要はLabsとは追加機能のことで、これらを個別に有効化することで好みの機能を追加することができる。 - これらが全て無料
法人ユースでも月500-600円。これは使うしかないでしょう。
デメリット †
- 「性能」が担保されていない
筆者が考える最大のデメリットで、送受信にエラーがない状態でも、遅延が発生することがままある。
もちろん「自社サーバでの運用や他のサービスならばトラブルが起こらない」なんてことはないが、「最近、調子が悪いね」という情報が共有されていれば、最低限は電話でフォローしたりも可能だが、Gmailはしれーっと遅延が起きる。体感では、1時間くらいはザラ。聞いた中で最大なのは、5時間。個人ユースならまだしも、ビジネスで5時間は大きい。
なお、有料サービスについては一応SLA?はこちらで謳われているが、非常にユルい。稼働率の保証はしていても、性能の保証はしていない。 - メールに添付するファイル容量に25MBという制限がある
そもそもこんな大容量をメールで送ることは常識がないと言える、ということはさて置いて。但し、こちらはGoogleドライブに該当ファイルを格納し「リンク先を相手に知らせる」という手段で解決可能にはなった。 - 添付可能なファイル形式に制限がある
例えば、.batや.exeおよび.mscなど。詳しくはこちらで。 - シングルサインオン?でのActive Directory等、他システム連携に制約がある
特に企業においてはUnix環境とWindows環境に大別されるが、後者で中規模以上の場合はActive DirectoryやExchangeサーバなどと連携していることも多い。
Gmailをはじめとしたクラウドソリューションは、基本的にはお仕着せを利用するだけであるし、こういった社内サービスとの連携はハナから考えられていないことも多いため、既存システム・他環境との連携はできないものと考えた方が良いかもしれない。 - どこからでも接続できてしまう
クラウドソリューションなんだから当たり前じゃん、という声も聞こえてきそうだが、具体的に言えばVPN?経由でのみ接続させたいといった要求は満たすことができない。
良いか悪いかは置いといて、法人ユースでは「社内ネットワークへの直接接続あるいはそこへのVPN?接続を経由しないと、あらゆる企業情報には接続できないようにしたい」といった要件もあるということで。
個人用と法人ビジネス用の違い †
簡単ではあるが、下記が違いとなる。
詳細はGoogle Appsで触れることとしたい。
サービス | 個人用 | 法人ビジネス用 |
ドメイン | 固定(gmail.com) | 独自ドメインが使用可能 |
利用料金 | 無料 | 月額600円(※公式価格) |
広告 | Yahoo!メールやHotmailと違い、メール挿入なし。画面には出る | メール挿入も画面表示もなし |
アカウント削除 | 9か月ログオンなしだと対象 | あらゆるケースで対象外 |
更に違いの詳細や新規利用の方法などについて、こちらやこちらでも取り扱われている。
他社サービスとの比較 †
メールサービスとしての比較 †
Yahoo!メールやHotmailなどフリーメールサービスと比較した場合、まず使用可能な容量が圧倒的に勝り、機能の豊富さと使いやすさが支持されている点が挙げられる。
その他、安定性も特に文句はないレベルで、速度的な性能も申し分なし。
法人ユースとしては遅延が気になるところだが、個人ユースではメールサービスとしてはHotmailと並ぶツートップで、メール本文に広告が入らない点ではHotmailに勝っていると考える。
ただ、プライバシー保護の観点から言えば、Google社は利用規約で「利用者のデータ等を、Google社が利用していも文句は言うな」と謳っており、個人情報の塊であるメールデータのプライバシーが一切保護されないことは認識しなければならない。
もちろん天下のGoogle社やその従業員が一般人のメールデータを覗き見る程ヒマではないとは思うが、Yahoo!メールやHotmailでは担保されているプライバシーがGmailにおいては全く存在しないのだ。
参考URL:
グーグル、「Gmail」にプライバシーを期待すべきでないと主張--集団訴訟の棄却求め
オフィススイートとしてのMicrosoft Officeとの比較 †
統合的なスイートとしての比較はGoogle Appsで触れたいと思うが、メーラーとしてだけ比較すると、最も大きな考慮要素は下記の部分かと思う。
- オフライン環境
利用人口全体でいえば特定のオフィスに張り付いている人や出先で少し確認できればよい人が殆どになるかと思うが、出張の多い営業やエグゼクティブにとって新幹線や飛行機内は重要な仕事時間の一つでオフライン利用の要求が高く、こういった層への要求を満たすことは顧客のビジネス全体への貢献度に大きく影響する。
こういった背景がある中、Gmailにもオフラインツールはあるが、はっきり言って利便性・安定性・操作性どれもOutlookのそれには全く及ばない。 - 「Outlookを捨てる」ということ
個人でいえばメーラーは思い思いのものを利用しているかと思うが、法人ユースではほとんどの企業がMicrosoft Officeを使用している。メーラーは当然Outlookだ。
これはWindowsの普及・浸透とともに歩んできた歴史であり、非常に長い付き合いである。こういったものを捨てることは容易ではない。
理由として、管理者側の言い分はバージョンアップ作業が不要になることやランニングコストの低減が挙げられるが、利用者側としては知ったことではない。必要に迫られたわけでもないのに使い慣れたものを捨てるメリットは、皆無である。
もちろんGmailは使い慣れたら全く問題ない仕組みなのだが、10年以上使用しているソフトウエアを捨てることは容易ではない。
個別トピック †
メールアーカイブ・フィルタリング †
主に法人ユースにおいて、この二つは避けて通れないトピック。
サードパーティ製のソフトウエアを使用することは既存システムと変わりなく、Windows環境用とまでは行かないものの、いま現在それなりに選択肢は出てきたと言える。
Gmailを選択したということはクラウドソリューションを採用したということであり、クラウドにアレルギーを持っていない証左だが、採用できるアーカイブ・フィルタリング製品もまたクラウドとなることが前提。つまり、利用料金を払い続けるということ。
筆者は多くのアーカイブやフィルタリング製品の導入について比較・検討したことはないが、検討したサービスのいずれも、はっきり言って安くない。
パッケージ型を購入しても大抵は保守料を支払うものだが、それにしたって高いんじゃない?と思った記憶がある。
一問一答 †
- 既存メールシステムからの移行は?
移行は可能か不可能化でいえば可能で、Outlookからなどはこちらを参照のこと。
筆者は、容量に制限があることなどを引き合いにして、今までのメールはローカルのメーラーに保存されているであろうから、「今までのものは、今まで使っていたアプリから見てください。これからのものはGmailで見てください」と言うようにしている。 - ラベルとは?
メールの整理について、いままでの「フォルダ」から「ラベル」に考え方が変わる。
要は階層型のフォルダを作ってどんどん格納していくというスタイルから、「目印」「タグ」とも言えるラベルを個々のメールに付与していくスタイルとなる。
条件付けをあらかじめ登録することで、受信したメールにラベルを自動付与することも可能。
また、ラベルはネスト(入れ子)にすることもできるので、いままで使用していたフォルダ形式っぽい利用方法もできる。(例:2013ラベルの下に201301ラベルを作り、1月に受信したファイルには201301ラベルを付与するなど) - 最近、アカウント情報がハックされる話を聞くが?
クラウドソリューションの良い所でもあり悪い所でもあるのが、IDとパスワードさえ知っていれば、いつでもどこでも誰でもアクセスできるということ。
勿論これは多くの場合メリットをもたらすのだが、不正アクセスを受けた場合やアカウント情報が漏洩した場合には大いなるリスクとなる。
Gmailでは二段階認証というアクセス制御を行うことができ、クラウドの利便性を保ったままセキュリティレベルを向上することができるので、是非ご検討頂きたい。
小技 †
- ショートカット一覧を表示する
Shift + ? - 添付ファイルがあるメールの検索
検索窓に、has:attachmentと入力することで抜き出すことができる。
その後にスペース+拡張子を指定することで対象をさらに絞り込むことができる。
更に、Wordなど読み込み可能なファイル形式であれば、その後にスペース+検索したい文字列を入力することで、ファイル内の文字を検索することができる。 - 送信者で絞り込み
検索窓に、from:(送信者)と入力することで抜き出すことができる。 - 特定のラベルがついたメールを検索する
検索窓に、label:(ラベル名)と入力する。l:(ラベル名)でも可能とのこと。
これらと組み合わせて利用できる方法もあり、こちらで公開されている。 - 未読メールのみを検索
検索窓に、is:unread - スター付きのみを検索
検索窓に、is:starred - その話題(メールのスレッド)が「終わった話」であるかを自動で判定
一連のやりとりは、大抵は最後にありがとうございましたや完了しましたという文言が入ることが多い。
そこで「完了」というラベルを作成し、「ありがとう」や「完了」を含む場合に自動付与するように設定すればok。もちろん話の流れでClose前に出てくることもある単語のため盲信は禁物だが、一例として。 - Google Labsを使って色々
Labsとは要は追加機能のことで、機能ごとに個別に使用するか否かを設定することができる。詳細はリンク先を参照のこと。
参考URL †
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