財務会計/収益
ざっくり言えば、「収入」のことで、損益計算書で勘定科目を大きく分類する大項目の一つ。
概要 †
難しい言葉でいえば資本取引以外によって得られる資産の増加を指す。
これを噛み砕くと、例えば100円の在庫を120円で販売した場合、資産は差し引き20円増加しているが、このような資産の増加の要因のことを収益という。
なお、資本取引については、詳細はリンク先を参照頂くとして、簡単に言えば資金調達などのこと。確かに現預金などの資産は増加するが、負債も増加しているため収益とは呼ばない。
似たような言葉に利益があるが、こちらは収益から費用を引いて残った額のことで、収益は費用を引く前の額のこと。
収益を認識するタイミング
収益をいつどの時点で認識(計上)するか?というのは、収益を本来あるべき会計期間(月や年)に帰属させるか、その収益を生み出すための売上原価は同じ期間に属しているか、などの副次的なトピックも含め会計処理を行う上で非常に重要な問題。
タイミングとしては、下記の3種類がある。
基本的には、物品の納品など確定したタイミングで計上するが実現主義をベースとするが、期間帰属を正すための工事進行基準などにおいては、その限りではない。
- 現金主義(cash basis)
発生主義と反対の概念で、現金ベースで仕訳を計上する。例えば納品時には仕訳なしで入金時に「現金/売上」とする。
現金の動きと連動するため誤りが起きにくいが、収益の期間帰属がズレる、売掛金などの信用取引を扱うことができない、減価償却?ができないなどの理由において、企業会計では適用できない。 - 発生主義(accrual basis)
現金主義とは違いキャッシュの動きは加味せず、「発生」した時点で計上するというもの。
が、費用については「発生」を検知することは容易であり漏れなく把握することが重要であるため採用されるが、収益においては「何をもって発生とするか」という客観的判断が難しく確かなもののみ認識すべきであるため、収益の認識には適用されない。 - 実現主義(realization basis)
ではどうするかというと、この基準を用いる。
簡単に言えば、発生主義+現金および同等物の獲得をもって収益の認識とする、という考え方。
例えば、相手先からハンコを貰ったからといって契約の締結時に売上を計上するのではなく、納品し検収を終えてから計上するというもの。
物品販売の詳細については、計上基準の項も参照されたし。
参考URL:
めざせ!経営に強い税理士!? 現金主義・発生主義・実現主義 まとめ
企業会計原則―損益計算書原則―収益・費用の認識基準―発生主義
収益の種類
本業の成績にのみ着目する場合、本業以外も加味する場合、運営のために必要となったすべてを加味する場合など、目的別に集計対象を住み分けることを目的とし、それぞれの性質に従い下記に分類することができる。
営業収益 †
勘定科目でいえば売上等が属する、いわゆる本業の稼ぎ。
値引き勘定を売上勘定と別管理している場合は、ここに含める。
営業外収益 †
本業以外の稼ぎのうち、手持ちの債券や有価証券から得た利息や配当金および家賃収入など「計上的に発生するもの」。
営業外収益は、原則としてそれを生み出すための直接的な原価が無いため、営業外利益と呼ばれることもある。
余談だが、経常利益は出ているものの、収益のうち、ここが占める範囲が大きい会社は健康と言えない。
特別利益 †
本業以外の稼ぎのうち、営業外収益と違い「計上的に発生しないもの」で、固定資産や有価証券の売却や貸倒引当金の戻入、為替差益など。
なお、営業収益や営業外収益は「収益」であるのに、ここだけ特別「利益」であることは、会計処理の違いが理由あり、営業および営業外は利益の計算と内訳の把握に収益と費用をそれぞれ計算前の、各々の、総額で認識するが、特別利益は会計上認識する時点で既に「売却額−取得額」などの計算済みの、純額で処理されるため。
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