販売管理/無償出荷
タダで在庫を顧客に渡すことで無償販売とも呼び、Free of Chargeと表記する。
SDでの無償出荷 †
在庫取引 †
概念 †
受注伝票タイプレベルで有償/無償を住み分ける。ちなみに標準ではFD。
これは、即ちオーダーレベルで切り分けることを前提としており、通常の在庫出荷にサンプル品を混載するような商い想定していないことを意味する。
コンフィグ次第で勿論可能ではあるが、標準バンドルの販売伝票カテゴリや価格決定表が有償(通常)のものと別に定義されていることを鑑みれば、間違いないかと思う。
費用の負担先 †
ヘッダレベルで原価センタを直接入力するか、受注理由を経由して間接的に割り当てる。
これにより、出荷伝票の登録時に受注ヘッダの原価センタが明細へ展開され*1、以降の伝票に継承されることとなる。
仕訳 †
受注明細カテゴリと納入日程カテゴリを経由の上移動タイプを紐付け、MM勘定設定により在庫を払い出す際の費用相手勘定を決定する。
なお、この動きの背景は、SAP標準の仕訳の流れが出庫=費用/在庫、請求時=仕訳なしという動きがあることで、販売積送品ソリューションを適用する場合は、その限りでない。
非在庫取引 †
概念 †
非在庫取引と言うと殆どは仕入先直送のケースを指すが、受注伝票タイプレベルで有償/無償を住み分けるなど、基本的には在庫取引と同じ。
なお、仕入先直送を在庫計上するパターンでデザインする輩もあるが、センスなさすぎなので止めてほしいものだ。
費用の負担先 †
ここで原価センタが必要となるケースは、買い側が有償かつ売り側が無償の場合となる。
標準では、購買発注伝票明細に入力する。
仕訳 †
請求書照合伝票の会計転記により、費用科目*2/買掛金
請求伝票の会計転記により、売掛金/売上
というのが一般的。
販売積送品ソリューションでは、照合で未着品/買掛金、請求で未着品の相殺と売上原価+売掛金/売上となる。
但し、追加請求/追加クレメモの取り扱い、通貨コードや換算レートの違いによる差異は規定しなければならない。
GTMでの無償出荷 †
概念 †
グローバルトレード管理においては、販売管理と違い伝票タイプレベルでの住み分けは前提としておらず、明カテで制御する。
これは、出荷が分かれたらソレごとに諸掛が掛かるなど、商社要求で混載を前提にしているためだと考えられる。
費用の負担先 †
原価センタは、受注伝票と同じく受注理由が利用できるが、混載を前提とすればトレード契約明細単位で入力すると考えるのが自然かと思う。。
しかし、その場合は受注伝票明細には継承されず、されたとしても、SAP標準のコピールーチンは前述の通り「受注ヘッダの値を明細に展開」という動きであるため、「受注明細から出荷明細へ」という動きの出荷コピールーチンを定義する必要がある。
まぁ、二か所に手を入れるくらいなら出荷伝票のBADIでトレード契約明細から抜いてセットした方が手っとり早いかと思うが。
TC明細に入力可能項目として原価センタが用意されており、且つ受注明細に引き継がれないという動きから不具合ないし仕様不備と思われるが、標準のコピールーチンが対応していない限りは引き継いでも無駄であるし、ヘッダに受注理由が用意されているため、標準SDと同一の考え方で利用すべきであるという考えも一理ある。
仕訳 †
販売管理におけるものと、考え方は一緒。
但し、例えば見本費・広告費・クレーム処理費などの費用科目について、それらの選択をどういった方式で表現するか?という議題がある。
・・・が、SDであれば受注理由ないし受注明細カテゴリであるこれについては、GTMにおいては明細カテゴリ方式一択である。
これについては、SAP標準の在庫払い出しに伴う費用計上であれば、移動タイプを紐付ける納入日程カテゴリはトレード契約からは入力できないため、自然とその上位になるし、販売積送品ソリューションにおいても、請求伝票での勘定設定の項目として利用できるためである。
CO-PAへの転記について †
まず、*3SAPの考え方としては、請求伝票からの転記を前提としているとのこと。
つまり、CO-PAに軸足を置けば、前述のSAP標準コンセプトや販売積送品の区別なく、無償明細であっても請求伝票は起票すべきであると言える。
しかし、必ずしも請求伝票を起票しなければCO-PAには転記されないかというとそうでもなく、出庫時に勘定ベースで飛ばすことは可能である。
但し、SAPのコンセプトに従わない場合には、それなりのしっぺ返しがあるのが常であることは補足しておく。
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