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SAPの共通用語/番号範囲

Last-modified: 2016-06-22 (水) 17:53:28 (2858d)
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マスタや伝票などユニークキーの採番規則および採番範囲。
伝票であれば伝票タイプ、マスタであれば品目タイプ得意先勘定グループおよび仕入先勘定グループなどに紐付ける。



伝票の番号範囲

SAPでは、外部採番も使用できるものの、基本的には内部採番を使用している。

採番するという手間を掛けて得られるメリットは然程多くないこと、また使い手にとっては得意先発注番号参照伝票番号品目マスタなど実商売の情報、会社コード販売組織などの組織情報の重要性の方が勝つからではないかと考える。

SAPでは内部採番という自動採番の世界と外部採番というマニュアル採番の世界があり、これらは各種伝票タイプのコンフィグと番号範囲オブジェクトで制御される。

内部採番

  • 飛び番について
    筆者が理解に苦しむ飛び番嫌いという文化は、殊のほか根強い。
    飛んでなんか困るの?と声を大にして言いたい。そして言っている。
    • 会計
      監査上の指摘があるとかないとかで会計伝票は理解できる。
      それを加味してか会社コードがキーになるので住み分けが容易で、設定上の問題はない。
    • ロジ
      各種ロジ伝票はそもそも組織による住み分けをコンセプトとしていないため、そのためには伝票タイプを分けたりしなければならないのだが、そもそも商流で分けるべきものであって、番号体系が動機となるべきではない。
      やるべきでないという理由は他にもあり、例えば会計伝票はシーケンシャルにできるからと言う事はでき、そこから逆引きしてロジ伝票をレポーティングすることも可能なものの、無償出荷など会計伝票ができない取引もあるため、全てのケースをカバーしきれないためである。
      また、伝票番号そのものではなく、公式伝票採番でナンバリングした値を別の項目に保持するという手段もある。

外部採番

インタフェースしている場合は、連携先のシステムの伝票番号を正にしたいという場合もある。
そういった場合は外部採番にするのが良いかと思うが、一度ヘクると物理削除できないシーンも多々あるため、伝票番号自体ではなく、どこかの項目に保持する方がベターだろう。

マスタの番号範囲

・・・とは、即ちコード体系であり、その定義は項目定義と同等以上の重要な要素である。
それは、特に自分の組織以外とシステムを共有する場合、検索によるコードの特定や、特定したコードが誤っていたというミスについて、防止したり頻度を軽減することはシステム運用の大きなテーマであるためだ。
それらを充足するために必要なのは、コードの正規化による視認性の確保検索効率の維持/向上である。
しかし、運用のレベルによっては何らかのコード管理が必要であるということ、登録自体の頻度によって運用負荷が高まり得ることなどが言えるため、コードの決定規則である有意採番と無為採番について、評価軸があり相互のトレードオフに言及したい。

有意採番

ガチガチのコード体系を定義し、適用するやり方。

これは、コードの採番に製品の特性・物性や取引先の性質が大きく影響する場合において有効であるが、登録頻度が低いこと・物性種別ごとのコードが少ないこと*1etcが前提となる。

また、採番したコードの正当性を末端のユーザに委ねるのは非常に危険であるため、大抵の場合はコード管理部署が必要となる。
これは一般的に情シスが宛がわれるわけであるが、情シスがシステムに入力しようにも大抵はInput = ユーザからの申請がいい加減であるため申請部署にヒアリングせねばならず、申請部署にしても日常業務の傍らで行っているため逐一聞かれても鬱陶しく、また登録のリードタイムが長引いて伝票登録が遅れるなど、コード採番に係るマスタ運用についてはシステムと業務の軋轢が生まれやすいテーマである。

無意採番

まず、ここでの無為とは単純連番のことを指し、コード体系が存在しない。
つまり、1から99999・・・まで登録順にコードを振っていく。

ここではメリット・デメリットが有意採番の裏返しとなり、コード採番に係る負荷が減りスピーディな運用が可能になる半面、コード自体からその正体が読み取れないという側面を持つ。

そこで「レポーティングで使える項目はいくらでもあるじゃないか」という考えは確かにあるものの、それを結論にするのは少々早計というもので、キーレポートのニーズをどの程度カバーし、しきれていないレポートはどう救うのか?という問いかけに対し、勿論コード体系だけで全てを拾い得ることは望むべくもないが、最低限コードで検索できるようにはなっていればボトムとして成立すること、勘定コードをはじめCOグループマスタ財務諸表バージョンのように、コード体系さえ維持しておけば、コードの増減や改廃での変更は発生しないということは忘れてはならない。

とはいえ、取扱品目の増加をシステマチックにコントロールすることが現実的でない*2場合においては、スピードを損なわないため、ガリガリ自動採番しないと回らないという背景では無為連番が止むを得ないという意味で相応であると言える。

結局?

どちらも長所と短所は裏返しなのでトレードオフ・・・というのは玉虫色だし、まずは無為連番と有意採番という二択か?というとそうでもない。
つまり、無為と有意の組み合わせこそが、多くの事例にとって有用かつ潰しの効くデザインであると思う。

それは、全て無意・ほぼ有意という組み合わせだけでなく、2~最大4つ程度にセグメンテーションし、セグメントごとに有意/無意を住み分けることで双方のメリットを享受できるからである。

但し、逆のことも言え、

  • SAPでは数字のみでしか自動採番できないため、マニュアル採番する必要がある
    単にアドオンすれば良いという話もあるが、採番だけに特化してカスタマExitでのチェックとするか、対話式で画面から作るか、ファイルアップロード系にするかなど、顧客要件とBudgetを加味して判断したい。
  • セグメントにマッピングした識別子が陳腐化し得る、というリスクを包含する
    これは陳腐化するようなもんを使うな、という一言の気もする。
    が、もう少し具体的に言えば、例えば品目マスタで言うなら事業軸(製品部門)のようなものを取り入れるのは良いが、販売組織利益センタのようなものはそぐわないということ。

これらを勘案せずにデザインしてしまうと、双方のメリットが失われデメリットを引き継いでしまうという側面もある。

関連ページ

トランザクションコード

FBN1 会計伝票の番号範囲
VN01 販売管理伝票の番号範囲
FBN1 会計伝票の番号範囲
OBH2 会計伝票の番号範囲コピー
OMH6 購買発注伝票番号範囲
OMH7 購買依頼伝票番号範囲
OMC1 入出庫伝票番号範囲
OMW9 価格変更伝票?(MR21)の伝票タイプと番号範囲
OMWA 価格変更伝票?(MR22)の伝票タイプと番号範囲
SNUM/SNRO 番号範囲オブジェクトのメンテ
KANK 管理会計伝票番号範囲
NRIV 番号範囲の間隔
TNRO 番号範囲オブジェクト(メンテ用T-Code、番号範囲のドメイン等。)
XKN1 仕入先マスタの番号範囲メンテ
XDN1 得意先マスタの番号範囲のメンテ
OMSJ 仕入先マスタの番号範囲のメンテ+仕入先勘定グループへの割当




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*1 ガチガチのコード体系を組むと、利用可能な枝番が少ないため
*2 18桁の無為連番でもコードが足りなくなるらしい。但し、採番単位が適当でないかとも思う